家庭内別居中の浮気も慰謝料請求できる?請求可能なケースを解説

「家庭内別居中の浮気の慰謝料請求はできない」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。

家庭内別居中の浮気の慰謝料請求はなぜできないのでしょうか。
「家庭内別居中の浮気であっても、浮気であることには変わらないではないか」と思うかもしれません。

家庭内別居はすでに「婚姻関係が破綻」していると考えられやすく、婚姻関係がすでに破綻している状態で浮気をしたとしても慰謝料請求の対象にはならないと考えられているのです。

しかし、家庭内別居中の浮気であっても全く慰謝料請求が認められないというわけではありません。

この記事では、

  • 家庭内別居とは?
  • 家庭内別居は「婚姻関係が破綻」していると評価されやすい
  • 家庭内別居中の浮気の慰謝料請求は難しい
  • 家庭内別居中の浮気であっても慰謝料請求ができるケース

について、弁護士が詳しく説明します。

家庭内別居とは?仮面夫婦とはどう違う?

家庭内別居とは、明確な定義があるわけではありませんが、一般的に、離婚するほどに夫婦関係が悪化しているにもかかわらず、離婚はせず同居を続けていることをいいます。

具体的には、話をしない、寝室が別、顔もあわせない、お互いのための家事をしない(食事を作らない、洗濯をしないなど)、一緒に食事をしないなどの状態を指すことが多いようです。

似て異なるのは、「仮面夫婦」という言葉です。

仮面夫婦は、一般的に、本当は夫婦間に愛情はないが、対外的に愛し合う良い夫婦を演じる関係であることをいいます。
家庭でも仮面夫婦を演じるパートナーとしての会話があったり、家事をしたりすることもありますので、家庭内別居ほどに夫婦関係が悪化しているとは限らないようです。

浮気の時点で婚姻関係がすでに破綻していると認められる場合、浮気の慰謝料は請求できない

浮気の慰謝料とは、配偶者の浮気を原因として夫婦関係が悪化したことにより生じた精神的苦痛に対して支払われるお金のことをいいます。

そのため、配偶者の浮気の時点ですでに婚姻関係が破綻している場合、配偶者の浮気が発覚したとしても、すでに婚姻関係が破綻している以上、夫婦関係がこれ以上悪化することはないと考えられており、慰謝料請求は認められないことになるのです。

家庭内別居は、「婚姻関係が破綻」していると評価されやすく、家庭内別居中の浮気に対しては慰謝料請求することは難しい

「単身赴任や長期入院等の正当な理由がないにもかかわらず、同居生活を送らない」、「婚姻関係の存続に向けて互いに協力し合えない」、「扶助し合えない」など、夫婦間の同居・協力・扶助義務(※)を遂行できない状況で、かつその状況に回復の見込みがないときには、「婚姻関係が破綻」していると認定されることになります。
※ 夫婦には民法上、同居、協力、扶助の義務があるとされています。

夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。

引用:民法752条|e-Gov法令検索

婚姻関係が破綻しているかどうかは、個別の事情や状況に応じて、夫婦関係の実態から判断することになります。

もっとも、別居の有無は、「婚姻関係が破綻」しているかの判断要素として大きい要素であると考えられており、別居をしている場合、「婚姻関係が破綻」していると評価されやすいといえるでしょう。

そして、家庭内別居の場合には、完全に別居している場合とは異なり、客観的にみれば、同じ家庭内で同居をしているともいえますが、夫婦関係の慈しみが失われ、会話や食事なども別にしてからある程度の期間が経過し、さらに寝室や家計までも別々である場合には、婚姻関係がすでに破綻していると評価されやすいでしょう。

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家庭内別居中の浮気でも慰謝料請求可能なケース

家庭内別居中の浮気であっても、慰謝料請求可能なケースとは、次の2つの場合が考えられます。

  1. 浮気が家庭内別居前から続いていた場合
  2. 浮気があった時点では、「婚姻関係が破綻」していたとは評価できない

詳しく説明します。

(1)浮気が家庭内別居前から続いていた場合

家庭内別居中の浮気について慰謝料請求が認められない理由は、家庭内別居によってすでに「婚姻関係が破綻」していると考えられるため、浮気によってこれ以上婚姻関係を悪化させる要因とならないからです。

もっとも、浮気が家庭内別居前から続いていた場合、上記理由はあてはまりません。

家庭内別居前(婚姻関係が破綻する前)の浮気については、夫婦関係が悪化する要因の一つになりえます(浮気がなければ、家庭内別居をするほど夫婦関係が悪化することはなかったかもしれません)。

そのため、家庭内別居前から浮気が続いていた場合、家庭内別居中の浮気であっても、慰謝料請求の対象となります。

(2)浮気があった時点では、「婚姻関係が破綻」していたとは評価できない

浮気があった時点では、すでに家庭内別居をしていたとしても、「婚姻関係が破綻」していたと評価できない場合には、慰謝料請求することができます。

婚姻関係が破綻しているかどうかは、個別の事情や状況に応じて、夫婦関係の実態から判断することになるため、どういう場合に「婚姻関係が破綻」していないといえるかどうかも明確な線引きがあるわけではありません。

しかし、例えば、次のような場合には「婚姻関係が破綻」していないといえるでしょう。

  • 家庭内別居をしてからそこまで期間が経過していない場合
  • 家庭内別居に至った理由が互いの冷却期間のためなど夫婦として修復を目指している場合
  • 相手から離婚を求められていても、一方が離婚を明確に拒んでいた場合
  • 会話がなくなっていても、相手の食事の準備や洗濯は行っていた場合
  • 家庭内別居中であっても、子の養育には夫婦で協力し、子含む家族で出かけたりしていた場合

もっとも、上記に当てはまる場合であっても、夫婦の個別事情によっては「婚姻関係が破綻」していたと評価される場合もあります。この判断は、不倫の慰謝料請求に精通した弁護士でなければ難しいので、「婚姻関係が破綻」しているか微妙な場合には、弁護士に相談することをおすすめします。

家庭内別居中の浮気で慰謝料請求するポイント

家庭内別居中の浮気に対して慰謝料請求をする場合に、重要なことは「いつから浮気が始まっていたか」になります。

これまで説明した通り、家庭内別居前から浮気が始まっていた場合、もしくは、浮気が始まった時点では婚姻関係が破綻していたとはいえない場合には、慰謝料請求が可能になります。
そのため、「いつから浮気が始まっていたか」によって慰謝料請求ができるのか否かを分けることになるのです。

例えば、

  • メールやSNSにいつごろから浮気をうかがわせるやりとりがあるか
  • 浮気相手との通話履歴がいつごろから増えているか
  • ラブホテルの領収書やクレジットカードの支払履歴がいつごろからあるか

などによって、少なくともいつごろには浮気がはじまっていたのかを判断することになります。

浮気の慰謝料の請求を弁護士に相談・依頼することをおすすめします

浮気の慰謝料請求は、もちろん自分で行うことができます。
しかし、弁護士に依頼することで次に挙げるようなメリットがありますので、浮気の慰謝料請求については弁護士に相談・依頼することをおすすめします。

浮気の慰謝料請求を弁護士に相談・依頼するメリットは、次の4つが挙げられます。

  1. 弁護士からの請求であなたの本気の怒りを伝えることができる
  2. 高額な慰謝料を獲得できる可能性が高まる
  3. 配偶者と連絡をとらなくてもよい
  4. トータルでサポートしてもらえる

順番に説明します。

(1)弁護士からの請求であなたの本気の怒りを伝えることができる

配偶者は、「家庭の問題だから」と考え、浮気相手も、「相手(配偶者)が誘ってきたから」などと考え、あなたにしたことを軽く考えていることがあります。そのため、あなたから慰謝料請求が来ても無視したり、てきとうにあしらったりすることもあります。

しかし、弁護士から請求された場合には、あなたの本気度が伝わって態度が一変し、事の重大性に気付いてきちんと対応するケースが多いといえます。

(2)高額な慰謝料を獲得できる可能性が高まる

少しでも高額な慰謝料を獲得するためには、過去の裁判例や法律の知識、交渉のテクニックが必要となります。

高額な慰謝料を請求する場合には、配偶者や浮気相手からの反発も当然大きくなりますので、その反発をおさえるためにも、専門家による交渉が必要となるのです。

弁護士であれば、法律の専門家としての知見を駆使して、配偶者や浮気相手と粘り強く交渉し、少しでも高額な慰謝料の獲得を目指しますので、高額な慰謝料を獲得できる可能性があります。

(3)配偶者や浮気相手と直接連絡をとらなくてもよい

弁護士が慰謝料の支払い交渉を行う場合、弁護士が交渉を代行しますので、あなたが自ら配偶者や浮気相手と連絡を取る必要はありません。

浮気・不倫をされたことによって慰謝料の請求を検討するといった場合、当然配偶者や浮気相手に対する怒りも大きい場合が多いと思います。

そのような場合に、慰謝料交渉のために、自ら配偶者と連絡をとらなければいけないということは、肉体的にも精神的にも大きい負担がかかります。

弁護士が交渉を代行することで、あなたにかかる負担を減らすことができます。

また、怒りを抱えた状態で配偶者や浮気相手と連絡をとることは、冷静な交渉を妨げる要因ともなり、かえって他のトラブルを招く要因にもなりかねません。

(4)トータルでサポートしてもらえる

離婚は慰謝料だけでなく、養育費や財産分与などお金にまつわる問題が多いといえます。財産分与や養育費は今後の生活に関わる重要なことです。
弁護士に相談することで、慰謝料請求のみならず、財産分与や養育費の計算方法などのアドバイスも受けることができます。

さらに、弁護士は、慰謝料請求に限らずに、浮気相手と配偶者の関係を断ち切ったり、慰謝料の未払いなど後々に起こりうるトラブルを防ぐための和解書なども作成したりすることもできます。

弁護士は、依頼者の悩みに寄り添い、依頼者にとって一番よい解決を目指します。

【まとめ】家庭内別居中の浮気は慰謝料請求することは難しい!しかし、慰謝料請求ができる場合もある

今回の記事のまとめは次のとおりです。

  • 家庭内別居とは、明確な定義があるわけではないが、一般的に、離婚するほどに夫婦関係が悪化しているにもかかわらず、離婚はせず同居を続けていること。
  • 配偶者の浮気の時点ですでに婚姻関係が破綻している場合、配偶者の浮気が発覚したとしても、すでに婚姻関係が破綻している以上、夫婦関係がこれ以上悪化することはないと考えられており、慰謝料請求は認められない。
  • 家庭内別居は、「婚姻関係が破綻」していると評価されやすく、家庭内別居中の浮気に対しては慰謝料請求することは難しい。
  • 家庭内別居中の浮気でも慰謝料請求可能なケース
  1. 浮気が家庭内別居前から続いていた場合
  2. 浮気があった時点では、「婚姻関係が破綻」していたとは評価できない
  • 家庭内別居中の浮気に対して慰謝料請求をする場合のポイントは「いつから浮気が始まっていたか。」にある。
  • 浮気の慰謝料請求を弁護士に相談・依頼するメリット
  1. 弁護士からの請求であなたの本気の怒りを伝えることができる
  2. 高額な慰謝料を獲得できる可能性が高まる
  3. 配偶者と連絡をとらなくてもよい
  4. トータルでサポートしてもらえる

アディーレ法律事務所では、浮気・不倫の慰謝料請求につき、相談料、着手金をいただかず、原則として成果があった場合のみ報酬をいただくという成功報酬制です。

原則として、この報酬は獲得した賠償金等からのお支払いとなりますので、あらかじめ弁護士費用をご用意いただく必要がありません。

また、当該事件につき、原則として、成果を超える弁護士費用の負担はないため費用倒れの心配がありません。

浮気・不倫の慰謝料請求でお悩みの方は、アディーレ法律事務所へご相談ください。

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この記事の監修弁護士
池田 貴之
弁護士 池田 貴之

私が弁護士を志したきっかけは、日常生活の中で時々、法的な問題に直面することがあったことです。法律というものは難解なものであると思われている側面が強いと思います。私も勉強するまでは、ちょっと近づきがたいものだと思っていました。しかし、弁護士となったからには、依頼者の方が何に悩んでいて何を求めているのかをしっかりと共有し、少しでも分かりやすく法的な問題点をご説明し、今後どのように問題解決に向けていくことが出来るのかを一緒に考えていきたいと思っております。

  • 本記事の内容に関しては執筆時点の情報となります。